第179章

三日後、彼らはチャリティーディナーで顔を合わせた。

稲垣栄作は遅れて来て、控えめに席に着いた。

彼はちょうどビジネスの接待から駆けつけたところで、座るなり高橋遥の姿を探した。

ふと、彼の視線が止まった。

彼は高橋遥が一人の男性と肩を寄せ合って座り、時折頭を寄せて何かを相談するように小声で話しているのを見た。とても親密そうだった。

その男性は稲垣栄作も知っている人物で、J市の伊藤さんだった。

そして間もなく、その伊藤さんがオークションにかけられていた千万円級の宝飾品、とても高価で目を引く赤いルビーのネックレスを落札した。

宝石は美人へ、競り落とした男性は意気揚々としていた。

客...

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